歩き続けて
「遅いなぁ…美咲。」

時刻は17:30をまわっている。

僕はさっきからずっと駅の改札とにらめっこしている。帰宅ラッシュの中で美咲を見失わないように。


と、その時。

「お―い!誠く〜ん!」

振り返ると遠くから美咲らしき人が走ってくる。


走ってくる……


ん??

誰かと一緒?


「ごめんね。本当は二人で会いたかったんだけど千里が来るってきかなくて。」

「あ、こんにちは。早川です」


千里という女性はぺこぺこと頭を下げた。


「私、美咲と同じ高校で教師をしている有馬千里です。あなたのことは美咲から聞いてますよ。お医者様なんですってね。じゃあ明日香さんのことよろしく頼みますね」


え…?


明日香のことを知ってる…?


「ではっ!」

そういうと千里は颯爽と夜の街に消えていった。
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