いちえ



そして、結局私は今、龍雅や宗太とは違う昨日と同じ部屋へと送還されていた。


龍雅の真意は分からないけれど、変な気遣いはいらないって、明日言わなきゃと心に誓う。


昨日と同じように、瑠衣斗が手際良く用意してくれた布団を、私は呆然と立ちすくんで見下ろす。


そして、昨日と違う事は、布団は一組ではなく二組と言う事。


「よし、寝るか〜。さすがに疲れただろう」



「ん…うん…」



ドキドキする胸を押さえながら、素直に瑠衣斗の言葉に従う事にする。



いそいそと布団に潜り込むと、そんな私を確認したように、瑠衣斗が部屋の灯りを小さく落とす。



きっと瑠衣斗は、私に物凄く気を使っている。


そして、それと同じくらいに私を大切に思ってくれている。




衣擦れの音がすぐ近くで聞こえ、瑠衣斗が隣の布団へと潜り込む。



「ふう…もも寝れそう?」



「えっ!!あ、あぁ…うん、大丈夫だよ」



豆電球が煌々と輝く中、瑠衣斗が顔だけを私に向けてそう言うと、そんな声に胸がドキリとする。



それが合図になったかのように、胸が一定のリズムで鼓動し始める。



なんか…この距離感が寂しいな…。


ぎゅっ…て…してほしい。



「ん…そか、じゃ〜おやすみ」



「あ…」



思わず瑠衣斗を引き止めてしまうように、私の口から声が漏れてしまう。


私の声に反応した瑠衣斗が、不思議そうな瞳で私を見つめる。

「ん?どうした?」


そんな瞳を見つめている内に、胸がどんどんと締め付けられていく。




―――…私……。



「るぅの…そばにいたい」



なんでこんなに…近くに居るのに、寂しいって思っちゃうんだろう。
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