いちえ
「…ありがと」
「お、上がったか。ちゃんと温まっ……頭濡れたまんまじゃねえか」
「……うん」
部屋のドアを開けると、龍雅と宗太がそれぞれ煙草を吹かしていた。
宗太は呆れたようにそんな風に言いながらも、最後にはちゃんと笑ってくれる。
るぅ……居ないじゃん。
居ると思っていた瑠衣斗の姿が見当たらず、何だか拍子抜けしてしまう。
「ま、とりあえず座れよ〜」
「うん」
ヘロヘロ笑って言う龍雅も、何だか気を使ってくれているようで、そんな龍雅に私は素直に頷いて床に腰を下ろした。
「るぅな、今電話してる」
「…ふうん」
りなさん…かな。
でも……あんな事して、今更るぅに連絡する事なんてある?
相手が違うにしろ、私は不安で仕方なかった。
ただポーッと座ったままの私の、首から下げているタオルを奪うと、龍雅が乱暴に頭を拭ってくれ始めた。
「世話が妬けるのぉ〜!!」
「…たまにはいいじゃん」
乱暴なんだけど、優しい手つきに思わず笑みが漏れる。
分かりにくいけど、本当にいつもいいヤツ。
「たけーぞ?」
「…じゃあもっと丁寧にして」
「んだよ〜我が儘!!」
……そうだね。