愛されたい でも愛されない
5分くらい歩いたら、学校が見えてきた。
ボクは校門に入って、上履きを履こうとした。
・・・だけど・・・
「あれ・・・?ボクの上履きが無い・・・」
下駄箱の中には有るはずの上履きが無かった。
仕方が無いのでボクは靴下のまま教室へ向かう。
(ちなみにボクのクラスは4年2組だ。)
「うわー!あさ菌が来たー!」
ボクが教室に入った瞬間、誰かが叫んだ。
そしてみんなが悲鳴を上げてボクから逃げる。
・・・いつもの嫌がらせだ。
“あさ菌”とは、ボクのこと。
ボクの名前はアサキだから、みんなが面白がってあさ菌と呼ぶ。
お風呂だってちゃんと入ってるのに、ばい菌扱いされる。
「汚いから近づかないでよ!」
「ギャハハハ汚いだってよー、あさ菌!」
汚いと言われるのはもう慣れた。
だって、毎日の様に言われるんだもん。
ボクはクラスみんなを無視して、上履きを探す。
そして、ゴミ箱の中に上履きが入ってるのを見つけて素早く靴を履いた。
みんなが面白くないようにボクを見る。
そしてひそひそと陰口をしはじめた。
キーンコーンカーンコーン・・・
チャイムが鳴ったので、みんなは陰口を叩くのをやめて席についた。
ボクも先生が来る前に席につく。
「お前、本当に生意気だな。」
隣の席のジュン君が言った。
ジュン君はボクを主にいじめるグループのリーダーだ。
怒るとすごく怖いし、口も悪い。
ボクはジュン君を刺激しないために硬く口を結んで何も言わないことにした。