空色パステル

―元カノの存在



太陽が昇る。

新しい今日が始まる…





カーテンを開ける。

すると眩しい冬の光が入ってくる。


その眩しさに目を細めながら深呼吸…





外と部屋の温度差で曇る窓。


左手を出して
いくつか文字を書く。





曇る窓に浮かび上がる文字。




『Cherish』





何かの本で見つけた言葉。

意味は…


『大切に想う』







遼はあたしのCherish。


呆れるほどに遼を想ってる
自分がいる。





そっと自分の右手に目をやる。
薬指に光るのは…


遼のくれた婚約指輪。

1ヵ月記念日にくれた指輪。




ふっと吐息が漏れ、
微笑むあたし。



頭に遼の笑顔を浮かべる。

あたしの記憶の中の遼は
いつも最高の笑顔。



あのいたずらっ子のような
可愛い笑顔。






想い出すだけで
こんなにもあたしの心は
遼で満たされていく…





「―…美緩~
朝ごはんよ~?」


リビングからお母さんの声が聞こえる



はーい、と返事をしてリビングに向かう。




いつもの日常。


そして、朝ごはんを食べ終えると制服に着替える。


「あれ、リボンがない…

―また陽菜か……」





陽菜はリボンなどの可愛いものが大好き。


そのおかげであたしの朝は
大変なんだけどね…笑




ふてくされる陽菜からリボンを無事救出…笑


そして、鞄とリボンを片手に家を飛び出す。





「いってきまーす」


の声と共に…。











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