空色パステル


「も~…教えてくれてもいいじゃん」

愛菜が拗ねる。



でも…これだけは教えられない。


「秘密ーっ!」



キーンコーンカーンコーン……




「はあ~………」

休み時間、一人ため息をつく。


頭に浮かぶのは拓弥のこと。



「だめだな…あたし」

優柔不断だからすぐに周りを傷つける。
小さい頃からずっとそうだった。



あたしの彼氏は遼。
けど、あたしは元彼と出掛けてキスをする。


おかしいよ………

あたしに気がなくたって向こうに気があれば浮気も同然。


まだ遼は知らないから騒ぎにはならないだけで、知られたら大変なことになってしまう。




事が大きくなる前に決めないと……。





考えれば考えるほど、
悩めば悩むほど、

あたしは道がわからなくなる。



どっちに行けばいいのかわからなくなる。




あたしは……どうしたらいい…?





顔をあげると、桜と梨杏が心配そうな顔をして立っていた。



「美緩……大丈夫??」
「元気ないから心配したよ~…」

二人が言う。


この二人なら…相談してもいいかな?





「……あのさ…?もしもの話だけど…



彼カノがいます。

彼女は彼氏がいるのにも関わらず、元彼とデートをしてキスしたりしています。


でも彼女は元彼のことが好きではありません。

……これっておかしい??」



「・・・・・」

しばらくの沈黙。


口を開いたのは梨杏。



「…ある意味、浮気だよね…?」




心に何かが刺さった感じがした。
チクチクしてて痛い。



「彼氏も元彼もどっちも傷つくよね…」


桜も言う。



「そうだよね……

あ、ありがとう」



無理して笑顔を作る。



そうだよね…
あたし最低だよね。







左手を強く握る。



涙が一粒、零れた。









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