~小さな恋光~
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「だぁかぁらぁ~知らないっつってんじゃ~ん」
そう言って髪の毛をクルクルと触りながら愛嘉は歩く。
右手にはストラップがジャラジャラついた重たい携帯。
それは耳に当てられてる。
『トボケんなよ!愛嘉が男といんのみたっつー奴がいんだよ!!』
耳元からは怒鳴り声に近い大声が聞こえる。
声の相手は
“自称”愛嘉の彼氏くん。
あぁー
めんどくさっ
愛嘉は「はぁー」っと、携帯越しに聞こえないようにため息をついた。
そしてバサッと言い切る。
「あのさー面倒なんだけど?うざすぎ。うざい男あたし嫌いだし?それじゃ、バイバイ」
『は!?おっ…』
愛嘉は男の声を遮り、電話をピッと切った。
そのまま猛スピードで男の名前を電話帳から探し、着信拒否設定。
何事もなかったかのように携帯を閉じ、涼しい顔で歩く。