4748日後のクリスマス
「どーしたんすか、斉藤さん」
斉藤さんは俺よりも二つ年上で、工場の職場の中で、唯一若い女の人だ。
歳が近いとは言っても、一応先輩なわけで、敬語は外せない。
「さっき専務が呼んでたよ。…って宏樹、また売店のお弁当?言ってくれれば作ったのに…」
斉藤さんは宏樹を見て、困ったようにそう言った。
「いーって。優子大変だろ」
「お金が勿体ないでしょ。ついでに宏樹の分も作ってくるから」
そう、この通り宏樹と斉藤さんは付き合っている。
この会社に入社してすぐに、二人は付き合い始めた。
宏樹にこんな美人な彼女ができたと聞いた時は、正直かなり驚いた。
「んー、さんきゅ。それよりさ、優子も聞いてやってよ。京平の可哀想な片想い」
…こいつなんていつか振られてしまえばいいと、本気で思った。
「あぁ、例の美菜ちゃんだよね。何か進展あった?」
「いや、むしろ前よりヤバくなってますね。…もうすぐ約束の日なんすけど…」
――今まで、どれほどこの日を待っていたか。