【番外編集】オレンジ色の奇跡

 2ヶ月半もほっとかれて謝りもしなければ、さらにシカト?!

 キッと、くわえ煙草をしながら運転する横顔を睨んだあたし。

 信号が赤になるのを待ち、なった瞬間に一番後ろの後部座席に移った。

 どれだけあたしが、我慢してたか知らないから、シカトなんてできるのよ。

 今日は、12月15日。

 クリスマス10日前にケンカなんてしたくないけど、少しはあたしのことを考えてほしいって思うのに…………。

 それにクリスマスは特別な日だから。

 窓につけた頭が冷たくなり、ちょっと動けば髪の毛が痛むような音がする。

 耕太は、あたしに会えなくても平気?

 聞きたくても、その答えが怖い。

 運転席から窓の外へと視線を変える。
 靴を脱ぎ捨て、膝を抱え込むように座りながら、車の横を勢いよく通り過ぎる景色を目で追った。

 自然と零れるため息に、自分自身、嫌気がさす。

 七瀬梨海は、ネガティブな女じゃないの!いつでも、ポジティブな女なの!!

 心の中で自分にエールを送ったって悲しいものは悲しい。

 ツーと、上から下へ頬を伝うモノ。

 慌ててそりを拭い、下唇を噛んで耐えてみる。

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