Cry!Cry!Cry!

校外学習



~Yumi~


「ってことで晴香。一ノ瀬悠介には彼女がいます。」


晴香は口元をゆがませた。



「言わんでいいよー!そんなことぉ~!」


晴香はあたしのいつもの叫ぶ声に負けず劣らずデカイ声で


“あー”と“あ”に濁点を付けたため息をして落胆する。


「まぁいいや。あたしゃ試合で一ノ瀬さんを見るだけでも、幸せだから。

 それよりゆーみん、どうするの?」


ケロッとした顔で晴香は言う。


内心は傷ついているだろうなぁ。。。



「どうするって?校外学習の部屋班のメンバー?

 そんなのそこのグループと呼んで組めばいいじゃん。」


あたしは教卓の近くにいる女子3人組を指さした。


「あいつらは違う奴らと組んだよ。

 そんな事よりこの校外学習で

 ちゃんとナンちゃんに気持ちを伝えなきゃダメだよー。」



“えー!”とブーイングするあたしに晴香は額に軽くデコピンした。


「ばーか、告白せんでどうする。

 2年なんてあっと言うまだよ。

 3年は進路の事で忙しいし。」


くはぁーっ。



晴香の言っている事が正しすぎて返せねぇ。



「じゃあ、まずは体勢を整えて相手の出方を見てからね。」



晴香はハテナを出したがあたしはすでに立ち上がった。



「いってくる。」



これは“行く”と“言う”の両方を混ぜて言ってみた。




「えっちょっと…言うって…まさかっ!?」


晴香は慌ててあたしの後についてくる。


どうやらヒカルくんに告ると思っているらしい。



そんなこと、浦島太郎のカメがいじめっ子に仕返しするくらい

あり得ないっつーの。


(なぜ浦島太郎のカメに例える…作者。)




あたしはダンッと机を叩いてみた。


その机に居る浅見千尋はあたしを睨む。


あたしはヒニッと負けずに笑った。


「ねぇ、あたしたちとグル組まない?」



相手(敵)の出方を見るにはまず相手に近づくべし。



レッツ接近戦☆







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