【短集】虹


「すみませんねー」
「可愛くねぇ奴」


うっさいなぁ!!




そのまま雑巾をかけていると、手がジンジンしてきた。


冬なので、霜焼けになりそうだった。



……その時。









「おい、手。
大丈夫かよ。」



奴がそう言って、
あたしの手をとった。



「っ、」


冷たい手が
暖かい手に包まれる





「大丈夫だってば!!
は、離してよ!?」


静まれ心臓!!!!!









「もーいっか」



…………は?


「何が…?」



そう言うと
奴はニヤリと笑い、






「掃除やめて、
どっか行かねぇ?」


「はっ!?
何言ってん…」



あたしの言葉が終わらない内に、奴はあたしの手をとったまま走り出す。




< 9 / 20 >

この作品をシェア

pagetop