妹の恋人は姉の彼氏の従弟
二段ベッドの下段に海堂が座り
私が回転椅子に座った

狭い部屋に二人でいる

母はお茶だけ出すと
居間に行ったけど
たぶん狭い家だ

聞き耳をたてているに違いない

「なに?」

「怒ってる?」

海堂が質問をしてきた
女と手をつないでいるのを見て
怒ってないとでも思っているのだろうか

「なんでそんなことを
聞くの?」

「だって顔が怖い」

「怖くしたのは誰だよ」

私はぼそっと呟くと
海堂がポケットから一枚の写真を
出してきた

男二人とあの女が楽しそうに
うつっていた

「兄貴と兄貴の女」

「え?」

兄貴の女?

私は首を傾げたまま
海堂の顔を見た

「昨日、俺のとこに来たのは
兄貴の女だよ
竹林広子っていうんだ
俺と同級生で、兄貴と内緒で付き合ってる
兄貴には親が決めた妻がいるから
不倫してたんだ」

「ふりん?」

海堂が頷いた

「広子、妊娠してた
兄貴の子だ
今日、病院に行って調べたよ」

「どうすんの?」

「さあ、わからないよ
俺は兄貴に話すべきだと思ってる
広子は兄貴に知られたくないって
言ってる

兄貴に迷惑をかけたくないってさ」

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