妹の恋人は姉の彼氏の従弟
実家で夕食を食べていると
海堂から電話がかかってきた

私は携帯を手に取ると
夕食の途中で
自分の部屋に駆け込んだ

「なに?」

「花音さんから聞いた
今日も実家って」

「そうだけど
それが?」

「会いたい」

「会いたいなら来れば」

女がいるのに
外に出れるわけ?

「うん、もう来てる
ただ呼び鈴を押していいものか
迷ったから」

「はあ?」

私が声をあげると同時に
家の呼び鈴がなった

母親が「どちら様?」とか
いいながら玄関に歩いていくのが
わかった

私は携帯をベッドに放り投げると
玄関に向かって走り出した

「初めまして
海堂彰吾と申します
紫音さんはいらっしゃいますか?」

大男が丁寧に
母親に挨拶をしていた

母もつられてお辞儀をすると
顔を真っ赤にした

「あ。
もしかして廉人さんの従弟の?」

「はい」

母が振り返って
私の顔を見た

「どうぞ、どうぞ
狭い部屋ですけど……」

母親がスリッパを出して
家にあがるようすすめた

海堂も靴をぬいで
家にあがった
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