妹の恋人は姉の彼氏の従弟

入学式

海堂彰吾はどこにいても
その存在をアピールしていた

クラスで整列をしても
頭がぽっこりと
出ているのだ

椅子に座ると
座高が引くようで
集団の中に紛れる

それだけ足が長くて
スタイルがいいのだろうが
立っていると存在感があって
ちょっと圧倒される

たぶん
海堂彰吾と話をしていなければ
「怖いヤツ」と認識して
極力、近くには寄らないようにしただろう

「紫音も大きいって思ってたけど
さらに大きいヤツがいたんだね」

友人の蓉子がふわふわの髪を揺らしながら
小声で話しかけてきた

小柄で女の子らしい蓉子は
大男に興味があるらしい

「私に対して軽く失礼でしょ!
奴は男で私は女だ
比較する対象を間違えないように」

「大きい上に
格好良いよ
こりゃ、きっと彼女いるよ」

「それは知らん」

蓉子は目を輝かせていた
真新しい制服を着て
髪を整えてある海堂彰吾は
ぱっと見ると
サラリーマンみたいだ

でも三月に中学を卒業したばかりの
少年なんだ

青年というべき?

なんでも良いけど
本当に
大男は目立つ
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