妹の恋人は姉の彼氏の従弟
「紫音って何組?」

低い声に私は振り返ると
海堂彰吾が首を傾げて立っていた

3年の輪の中に堂々と入っている海堂彰吾に
皆が顔を上げた

「な…なんでここにいんの!」

「クラス、聞きにきた」

「3組だけど、何かあんの?」

「ううん、知りたかっただけ」

海堂彰吾は満足したらしく
私から離れて行った

な、何?
どうして話しかけてくるんだ

「ちょ、ちょっと
紫音とあの子、知りあいなの?」

蓉子が質問してきた
目がひどく輝いている

「今度、会ったときに紹介するよ」

「そういうことじゃないくて!
どういう関係なの?」

「どういう?
お姉ちゃんの彼氏の従弟だよ」

「彼氏の従弟?」

「そうだよ
バスケの天才らしいよ
よく知らないけど」

本当に
私は海堂彰吾を知らないが

なんか突き放せない

どうしてだろう

ぼーっとしてて
ぼそぼそと話すからか?

弟みたいについてくるから?

よくわからない

「バスケの天才?
彼女、いるよね~」

「それは知らん」

蓉子が私の腕に絡みつく

「聞いておいて」

甘い声出す蓉子に
私は困った顔をした

「嫌だよ」

「だって彼氏の従弟でしょ?」

「お姉ちゃんの彼氏の従弟」

「聞いておいてぇ」

蓉子はたぶん「うん」と
言うまで
言い続けるだろう
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