妹の恋人は姉の彼氏の従弟
「わかったよ
会ったときに聞いてみるよ」

「やった
私、年下ボーイが好きなの

お姉さんの魅力を教えてあげるわ」

蓉子は綺麗な髪のカールを指でいじった
確かに蓉子は年下の男が好きらしい

去年も1年の後輩と
付き合っていたはず

もう別れたのかな?

男女の付き合いよりも
バスケットに夢中な私には
そういう話はあまりしてこないから
わからない

「ありがとな、木下」

出席簿で
私は頭を叩かれた

振り返ると加藤先生が笑顔で立っていた

「え?」

「海堂くんのこと
木下が説得してくれたんだろ?」

「え…あ、あぁ」

私は口ごもった
別に
説得というほど
話しをしたわけじゃない

ヤツが勝手に
この高校に通うと言い出しただけ

『紫音がいるから』

夕日でオレンジ色になっている大男を
私は思い出した

「説得って何をしたの?
ん?」

蓉子の顔が明るくなった
この顔は
変な想像をしていそうだ

「何もしてないよ」

「何も?
お姉さんの魅力を教えたんじゃないの?

高校に通えば、校内で私の体を好きにしていいのよ
…とか?」

蓉子の言葉に
加藤先生は大笑いをした

「木下はそういうガラじゃないだろ」

加藤先生は
笑いながら
私たちから離れて行った
< 21 / 133 >

この作品をシェア

pagetop