妹の恋人は姉の彼氏の従弟
「ああ
今年中3でそれなりに目星は
ついてるみたいだが・・・
なんせスカウトが多いらしくてな
もっと環境の良い高校があるかもって」

「廉人さんの従弟だから
そりゃあ、かなりの捻くれ者なんでしょうね」

「…酷い言われようだな」

私はニッと笑うと
廉人さんは苦笑いをして
長い手を伸ばしてきた

私の頭を小突くと
時計に目をやった

「そろそろ到着すると思うけど
なんせ飛行機嫌いで
電車で来るって言ってたからな」

「飛行機嫌い?
どっから来るの?」

「北海道」

「ずいぶん、遠くからいらっしゃる」

「高校は東京の学校がいいんだと」

「何で?」

「良い女がわんさかいるからだろ」

「バスケの環境がいいからじゃないの?」

「両方だろ」

私は廉人さんと目が合うと
笑い合った

私も恋人にするなら
こういう大人の男がいい

どんなことをしても
どんなわがままを言っても
広い胸で受け止めてくれる男がいい

私のポケットの中で
携帯が鳴りだした

見ると部活の顧問からだった

「木下、無事に親戚の家に行けたか?」

顧問の加藤俊の声が耳の中に響いた

「あ、はい」

他の生徒はみな都内のホテルにいた
私だけ、ホテル代を浮かせるために
廉人さんの家にお邪魔していた

「そうか
良かった」

「はあ、どうも」

「明日、7時に体育館でな
寝坊するなよ、エース」

加藤先生はそう言うと電話を切った

< 4 / 133 >

この作品をシェア

pagetop