妹の恋人は姉の彼氏の従弟
「ま…まっ」

「『ま』?」

海堂彰吾が立ったまま首を傾げた

「うまいっ!」


いや
違う、ちがう

まずいって言ってやろうと
口を『ま』の形にして準備してたのに


すごく美味しかった

ファミリーレストランとは違う味
一流シェフが作る料理みたいな感じ

って私が一流シェフの味を
知ってるわけじゃないんだけど

第一行った経験もないし

でも
390円で食べるような
肉とは違う

なに
この柔らかさ!

「彰吾は料理が好きだったな
そういえば……」

ぼそっと
廉人さんが呟いた

好き?
料理好き?

この大男が?

ちまちました料理を作るのが好き?

私は海堂彰吾の顔を見た

海堂は
大皿に盛ってあるサラダを
小皿に盛って私に差し出した

その盛り方も上品だ

「食べて」

「うん」

私は皿を受け取ると
口に運ぶ

うまい

なんだこのドレッシングは!
今まで食したことのない味だ

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