ネコガールの恋
そのようにして始まった今日の「デート」
は、行きの電車から緊張したものに
なった。

ガタゴト揺れる電車の中、今日丸一日
使ってネコガールを口説き落とすつもり
でいた大火はすっかり当てが外れ、

(こいつ、急にケータイが鳴って、
 「すみません、急用ができまして」
 っていなくなっちまえばいいのに)

と言いたげな目つきで宮城の方をチラ
チラ見ていたし、

宮城は宮城で、

(ネコガールさんをこの男の毒牙から
 守らなければならない!)

とでも思っているのかのように、目に
気合が入っていた。


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