青春ing
「その……良かったら、一緒にお昼食べたり、メールしたりしたいんですけど……」



 相変わらず、恋する女の子のような態度を続ける和屋君。積極的なのか消極的なのか、判断しづらい所だ。クラスの男子達が、面白がって「おっ!山沖が珍しく男に告られてんぞ!!」と騒ぎ出したので、スカートのポケットから球を取り出して投げる振りをしてみる。すぐに怯え出す奴らを見ていたら、あたしってどんだけ恐れられてるんだろう……と虚しくなった。



「うーん……メールは良いけど、お昼はちょっとね。友達も居るし。」

「え!メール良いんですか!?」

「うん。友達増えるのって嬉しいし。試合で当たった学校の子達とも、よくアドレス交換してるから。」




 和屋君は何故か少しだけ苦い顔で笑って、ズボンのポケットから赤い携帯を取り出す。あたしも一旦席に帰って、シルバーの携帯を手にして戻る。



「はい、オッケー。赤外線通信があると早いね。」

「わぁ!ありがとうございます!!すっごく嬉しいです!!」



 サラサラの黒い髪を手で直しながら、和屋君。「良かったら私とも」と言った香子ともアドレスを交換して、彼はルンルンと教室を後にした。
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