青春ing

*ソフトに青春捧げてますから、恋もお洒落も初心者なんです。

 土砂降りの雨の日が何日も続くような時期が過ぎると、ようやく夏の到来。あたし達球児にとっては、一年で一番熱い季節だ。

 クラスメイトの野球部員達も、「やっと思いっきり部活ができるな!」とハイテンション。あたし達ソフト部にとっても、それは同じ。授業中なのに“早くあの青空の真下に行きたい”と思って、グラウンドを見つめることなんてしょっちゅうだ。



「おーい山沖ー。先生の話はそんなにつまらんかー?」

「……うわっ!すいません!!」



 アハハ、と溢れる、クラスメイト達の笑い声。やっちゃったな、と思いながら、先生にペコリと頭を下げる。「良い天気だもんなー、どうせ頭ん中では投球してたんだろー」と言ってくれたことから、どうやらそんなに怒ってはいないみたいだ。

 良かった……そう思ってもう一度頭を下げると、生物の授業の再開。ふと斜め前の席に目をやると、立たせた教科書の陰で、高須賀がいそいそと早弁をしていた。

 2限目だし、朝練でお腹が空いてるんだろうな。ま、あたしも休み時間に香子達とお菓子つまんだからね。スポーツする人にとっては、食事って本当に大切だと思うな。
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