【実話】ありがとう…。
「おう!又ちょっと風邪ひいたみたいだけど、望の顔見たら、元気になった」

そう言って笑った。


「本当?!無理しないでね!」



「ありがとな♪」



「おいで」


そう言いながら、手を広げ、私が抱きつくとギュッって力一杯抱き締めてくれる―‐。


会えない不安や寂しさも、こうして抱き締めて貰えば、一片で吹き飛ぶ。


部屋でTVを見ながら、まったりする二人。


突然携帯が鳴り出す―‐。

~♪~♪~♪~

「わりぃ」

と携帯を開き電話に出る。


「もしもし」



「――――――」

相手の声は聞こえない。

「うん、分かった。今から行く」


携帯を切り、すまなそうにこっちを見る。


「ごめん、望。何かトラブったみたいで、俺、行かなきゃなんない。この埋め合わせは必ずするから!!本当に、ごめんな…」



「仕方無いよ」


玄関まで見送りに行く。


「又ね…」



「あぁ」



いそいそと車に乗り込み行ってしまった。





それから暫く―。


会っていると必ず携帯が鳴る。

そしてすまなそうな顔をして、

「ごめん」

と帰って行く事が続く。


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