【実話】ありがとう…。
母の顔を見ると、何とも言えない、寂しそうな顔をしていた。


「ありがとう」

そう言い、部屋に戻り、1人考える。



泣いてばかりいられない。

お母さんにきちんと話を聞いて、何が出来るか考えなきゃ。

たかさんの前では、笑って居たいから…。




暫くぶりに、斎藤さんへ電話をかける。


プルルルルッ、プルルルルッ。

「もしもし」



「斎藤さん、望です」



「久し振り、元気だった?」



「うん。ちょっと話あって電話した」



「どうした?」



「たかさんが癌なんだ。で、肺に転移してる」



「そっかぁ。肺に転移してるって事は、3ヶ月位だね」



「…そうなんだ…」



「この間、他からたかさんとは、別れたって聞いたけど…」



「うん…」



「そっか…。辛くなったら話聞くから、いつでも連絡寄越しな!ね?」



「うん。ありがとう」

お礼を言い、電話を切る。



3ヶ月かぁ…。

キツいな。



11月7日。

仕事帰りに、たかさんの病院へ寄った。


事前に、部屋番号を聞いていたから、エレベーターに乗り、詰所に寄らず部屋へ向かう。


「コンコン」


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