【実話】ありがとう…。
「札幌だと来るの大変だろうけど、たまには来てくれよな!!俺、暇だろうし」

そう言って、ニカッと笑うたかさん。


「勿論、行くに決まってるじゃん!」

とニッコリと笑った。

病室に戻り、少しするとコンコンッとドアをノックする音が聞こえる。

「どうぞ」

と返事をすると、30代後半位の背広をキチンと着た背の高い男性が入って来た。


「こんにちは」

と爽やかに笑った。


私も釣られて、ニッコリ笑い挨拶をする。


「おお、兄貴!」



「えっ!?」

ビックリして、またお兄さんの顔を見てしまった。


でも、よく見ると目元が少しだけ似ている。


「望、長男の智之。前に話したろ?」



「あっ!」


慌ててお兄さんに向き直り、

「初めまして、望です」

と頭を下げる。


お兄さんは、優しく微笑み、

「初めまして、望ちゃん!」


何だか緊張してしまう。

なのに、たかさんはそんなのお構いなしに、お兄さんに、

「お前、手ぶらで来たの?ひでぇ奴」

と文句を言っている。


「仕事で近くまで来たから、寄ったんだ。寄らないよりマシだろ?」



「望、コイツ葬儀屋で働いてるんだ」


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