【実話】ありがとう…。
11月16日。

今日、本当は仕事だったんだけど、年休を取って、たかさんの病院に朝から顔を出す。


病室へ行くと、ボーッとし、窓の外を眺めている。


「たかさん?」



「おお、来たのか。今朝、痛み止使ったから何だかボーッとしてな」

と苦笑いをする。



「そっか。寝ても良いよ」

優しく言い、ニコリと笑った。


「いや、望。頭洗ってくんない?」

と照れ臭そうに笑う。

その姿が何だか可愛くて、返事をしてクスリと笑ってしまった。


病室を出て、洗面所に行き椅子に座って貰って、丁重に頭を洗う。


「痒い所とかない?」


「大丈夫」


頭を洗い終わり、拭きながら、

「昨日、札幌総合病院行って来てどうだったの?」



「んー?綺麗な病院だったし、キチンとこれからの治療方針とか話してきた。で…転院、来週の火曜日に決った…」



「そっかぁ、やっぱり転院なんだね」



「望?わりぃけど、体も拭いてくんね?」



「あっ、うん」



体を拭きながら、

「火曜日かぁ。ごめんね、私、仕事だから一緒に行けないや…」



「気にすんなよ!」



「うん…。ごめんね」


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