落日
「――もう少し、このままでいさせて」
「聡……?」
聡の静かで穏やかな声が、私の耳元でそう囁く。
ふわりと香る、聡の匂い。
――理由なんて分からない。
ただただ、その匂いと聡の温もりに胸をギュッと締めつけられて、涙が私の頬をつたった。
「なんで泣くんだよ」
一度、頬をつたった涙はどんどん溢れ出て、鼻をグスグスと言わせている私に、聡は小さく笑いながら訊く。
「……なんでだろう。分かんない……」
「なんだそれ」