落日
はらはらと舞う紙片を見つめていると、社長室のドアが突然開く。
「……なに? 呼んだ覚えはないわよ?」
呼吸を乱しながら、社長は突然の訪問者を鬼の形相で睨んだ。
振り返ると、そこにはにこやかな表情で立っている副社長の姿があった。
「――姉さん。次期後継者なら、誠司くん以外にもいるだろう?」
「……何を言っているの? 後継者は誠司だけよ?」
「私も月島の人間だから、後継者候補の一人だよ。月島グループに籍を置いている私の息子もね」
「……そんなこと、認めないわよ」
社長の鋭い口調に、副社長は怯むことなく穏やかな表情を保ち続けている。
「やる気のない人間を後継者にしたら、それこそ月島は終わってしまう。誠司くんを見て分からないか?」