落日
「本当に、このままでいいのか?」
「……なに……言ってるの?」
「まだ、彼のことが忘れられないんじゃないのか?」
誠司は私から茶封筒を奪い取ると、中から書類を取り出し、言った。
「調べたんだ、彼が今どこにいるのか。どうして、姿を消したのか」
「……どうしてそんなことをするの?」
「依子がまだ、あいつのことを思っているから。あいつが、本当に依子を好きだったから」
「―――?」
誠司は厳しい表情で言い放ったあと、書類を私に突きつける。
「今度こそ、依子を幸せにできると思ったけど……。現実はそう甘くないな」
自嘲気味に、誠司は笑う。
私は震える手で書類を受け取り、その中身に目を通した。