落日


肌を重ね、互いを求め合うままに抱き合ったあと。

ほんのりと湿度を帯びたベッドのうえで私を包み込むのは、聡の大きな腕と、罪悪感だった。


「――帰らなきゃ」


サイドテーブルの上に置かれている、黒を基調にしたオシャレなデジタル時計はすっかり日付が変わっていることを私に教えてくれた。


「泊まっていけばいいのに」


背を起こして、いつのまにかタバコを吸っていた聡が当たり前のように言う。

行為のあとに、ベッドでタバコを吸う男は大嫌いだった。

誠司はそのことをよく知っていて、律儀に守り続け、私を優しく抱きしめたあとは必ずリビングに移動してからタバコを吸う。

だけど、聡が私の傍らでタバコを吸うのは嫌いじゃない。むしろ心地良い。


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