ロ包 ロ孝 3
「確かに仰る通りです」

「謀(ハカリゴト)の臭いがしますな」

「きや兄ぃ、盛り事って?」



 今迄口をつぐんでいた綾乃が我慢し切れずに問い縋る。



「ハカリゴトだ。我々の思慮が及ばぬ所で大きな力が動き始めておるのかも知れん」



 引き続き【朱雀】で聞き耳を立てていた銀次が顔色を変えて叫んだ。



「喜八様、伊賀者が動き始めました」

「うむ。【在】を用いて捕らえるか」



 腕組みをして考えを巡らせていた喜八だったが、流石に窖へ伊賀者を連れ帰るのはまずいと思い始めていた。



「以前火薬庫として使おうとしていた洞窟が有ったな、弥五郎」

「は、湿り気が多過ぎて使い物にはなりませんでしたが」



 蠢声操躯法という破壊力の有る術を体得する以前は、高峰忍びの火薬番として勤めていた弥五郎は、その筋を認められ、高峰忍びに招き入れられた。



「伊賀者を捕らえて、あそこで聞き出そう」

「仰せの通りに」

「銀次。弥五郎と共にきゃつらの獲物を封じるのだ。宗助と六兵衛は【青龍】できゃつらの正体を無きものに」



 矢継ぎ早に言い付けると、喜八は残った忍びを引き連れて山を駆け上がった。



「綾乃、離れるな」

「あい。ここに」

「我等は正体を無くしたきゃつらを縛り上げ、洞窟に連れ込むのだ」

「は。喜八様」


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