ロ包 ロ孝 3
 高峰忍達は各々の役割に従って【者】を使い、方々へ走り去った。

彼らが舞い上げた木の葉が、密やかに降り積もる。



 サササササッ



 【者】を使いながらも注意深く先を急いでいた銀次と弥五郎は、遥か前方に落ち葉が舞い上がるのを見付け、互いに【闘】を交わしていた。



『葉隠れだな? 見たか銀次!』

『おうよ! 伊賀者に違いない』



 高峰忍に三倍速の【者】が有ることを知らない伊賀忍は、追っ手の到着する時間を読み違えたのだ。



『頭隠して尻隠さずとはこのことぞ』

『きゃつらに気付かれぬように【青龍】を放つぞ』

「むぅぅぅぅうん」

「心得た。むぅぅぅぅうん」



 銀次達から放たれた【青龍】に依って、正気を失った伊賀者達は、1人また1人と立ち上がる。

彼らを覆っていた落ち葉は儚くも滑り落ち、伊賀者達はその姿をさらけ出していた。



「しかしいかん。数が多過ぎる」



 見れば6人もの伊賀者がフラフラと足元を覚束無くさせている。



『術は1人ずつにしか掛け続けられん。加勢はまだか』

『もうすぐだ、飛び苦無で持ち堪えろ』



  ササササササッ



「頭! 六兵衛!」

「遅くなった。して首尾は?」

「はい、数が多過ぎオワッ!」



 後から追ってきた2人へ戦況を伝える弥五郎に、正気を取り戻した伊賀忍が投げた十字手裏剣が刺さった。


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