恋舞曲~雪の真昼に見る夢は…~
第10話「もう一人の夢追い人」
12月24日、クリスマスイブ。

剛のお墓の前で3年ぶりに再会したあたしと誠志郎さん。

町外れの墓地には、あたしたち以外、誰の姿も見えなくて、そして、そこからの帰り道を歩いていても猫の子一匹見当たらなかった。

クリスマスムードで盛り上がる町の雑踏から離れた墓地周辺の町並みは、まさに“ゴーストタウン”と表現するのがピッタリといった感じに、ひっそりと静まり返っていた。


「なんかヤケに静かだな。今ごろ、世間はクリスマスで、みんなどっかに出掛けちまったのかな」

人通りのない歩道を並んで歩くあたしと彼。

“カツ…、カツ…、カツ…”

静かな歩道に、地面を突く杖の音が響く。

あたしは、右足が不自由で杖を突きながら歩く彼に寄り添うように並んで、彼の歩くスピードに歩調を合わせて、ゆっくりめのスピードで歩いていた。

「誠志郎さん、クリスマスの予定は?」

「墓参りも終わったし、あとはもうなんもすることねぇな。そーいう毬ちゃんは?」

「あたしは…」

ここまで言って言葉につまった。勤さんとデートするか、江波さんと話をするか、まだ今夜の予定は決めてなかったからだ。

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