恋舞曲~雪の真昼に見る夢は…~

「そーいや、あした19歳の誕生日だろ?」

「うん…」

3年ぶりに会う彼が、あたしの誕生日を覚えてくれていたのが素直に嬉しかった。

「その左手から察するに、18で結婚する夢は叶った、ってことか……」

その言い方が少し淋しげだった。

「でも、これはまだ“婚約指輪”だから」

「なら、もう叶ったようなもんじゃないか。…ってことは、今夜はフィアンセと楽しいデートってことだな?」

「うん…」

あたしはうつむきながら答えた。

「なんだよ、もうすぐ夢が叶う、っていうのに、あんまり嬉しそうじゃないな」

「………」

なんて答えたらいいか分からなかった。

「よかったな。毬ちゃんは夢が叶って」

彼はやさしく、でもどこか淋しげに微笑んだ。

「誠志郎さんの夢は?」

「司法試験……去年はダメだった……」

「そっか……でも超難関の試験だし、そう簡単には受からないんじゃないかな」
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