恋舞曲~雪の真昼に見る夢は…~
「もういいよ! どんな言い訳されたって、あたしの夢が叶わないことは100%確定しちゃったんだから!」

「毬ちゃん、落ち着けよ」

「うるさい! 誠志郎さんも勤さんも、みんなキライ! ダイキライ!! 夢が叶わないなら生きてたって仕方ないじゃん! もう生きてなんていたくないよ!」

「毬ちゃん!」

あたしは誠志郎さんの制止を振り切って、ホテルの部屋を飛び出していった。


“今はダメでも18歳になったら幸せになれる”って、それだけを心の支えにして今日まで生きてきたのに、あたし、これからどうしたらいいの!?


もどかしいくらいに長く長く続くホテルの廊下は、走っても走っても、あたしを外に出してはくれない。

このとき、あたしは世の中のありとあらゆるものに対して…、

“もぉ、いいかげんにしてよっ!!”

…って大声で叫びたいような気分だった。


ただひたすらに、ホテルの出口に向かって走り続けるあたし。

胸につけた心電図ホルターのことなんて頭の片隅にさえ存在していなかった――――


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