恋舞曲~雪の真昼に見る夢は…~

なんか嬉しそうな彼女の態度に、ちょっとムカついてしまったあたしは…、

「そんなの、ただの偶然だと思います」

…って冷たく言い返してしまった。


でも彼女のほうは、あたしの態度など少しも気にも留めない様子だった。

「偶然かどうかは今日の試合を最後まで見てれば分かる、って♪」

「だから、あたし、もう帰ります、って」

「なんか用事でもあるの?」

「…!」

なんとでもテキトーに答えておけばよかったはずだった。

それなのに、あたしは言葉に詰まってしまった。

今週末、唯一の予定だったお墓参りが終わった今、なんの用事もなくなって、テキトーな用事がまったく思いつかなかったからだ。

「じゃあ、もし、ウチのチームが今日の試合に勝ったら、三つ編みちゃんにおいしぃぃぃケーキをごちそうしてあげる♪」

「おいしいケーキ!?」

今の今まで、ワケ分かんないヒトの相手なんかしてないで、さっさと帰るつもりだった。

< 28 / 227 >

この作品をシェア

pagetop