恋舞曲~雪の真昼に見る夢は…~
第4話「1年前の今日この日」
1年前の12月25日――つまり14歳の誕生日、あたしは郁巳おねーさんと再会した。


もしかするとソレはお墓参りに行ったことへのご褒美とゆーか、杏奈さんからの誕生日プレゼントだったのかもしれない。

いつもなら“死んだヒトからのプレゼントなんてゼッタイあるはずない”って、どこか冷めてるあたしなのに、そのときガラにもなくファンタジックな妄想をしてしまったのは、それだけ郁巳おねーさんとの再会が嬉しかったということだと思う。


そして、明東大学サッカー部・金髪のミッドフィールダー“桐矢 剛”、そしてゴールキーパー“四方誠志郎”と出会ったのも同じ14歳の誕生日のことだった―――



その日の午後4時すぎ、あたしは郁巳おねーさん、そしてサッカー部のヒトたちといっしょに、金髪のヒトの実家である“屯(たむろ)”っていう名前の喫茶店にいた。

サッカー部マネージャーを務める郁巳おねーさんに「勝利の女神さま」と言われたあたしは、試合に勝ったお礼ということで、彼女いわく「おいしぃぃぃケーキ」をごちそうしてもらうことになっていたからだ。


“軽食喫茶・屯”――そこは表通りに面した明るく解放的でおしゃれな今どきの“カフェ”という感じではなく、裏路地に入ったところにある知る人ぞ知るといった感じの隠れ家的な雰囲気の“喫茶店”だった。

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