恋舞曲~雪の真昼に見る夢は…~
「よし、じゃあ決まりだな。父さん、あした、アサイチで看護師さんに電話しとくから」

「ねぇ、相手のヒトってどんなヒト?」

「安達 勤(アダチ・ツトム)さん、年は27。職業、外科医」

「安達…勤…さん……それがあたしのお見合い相手の名前……」

あとで聞いた話では、そのヒトの父親は開業医で、彼は未来の2代目院長先生ってコト。

別に職業で判断したワケじゃないけど、父のオススメだったし、とにかくそのヒトと真剣にお見合いをしてみようと思う。


タイムリミットまで、あと3ヶ月しか残っていないあたしにとっては“どうしようか…”なんて迷ってる時間さえもったいない。

コレって千載一遇のチャンスだと思う。

もし、そのヒトと結婚できたら、あたしの小っちゃい頃からの夢が叶うんだ。

そしたらあたし、みんなに“安達 勤”っていうヒトを見せびらかしてやりたい。

ゼッタイみんなにあたしのことを“うらやましい”って思わせてやるんだ。


“安達 勤さん……安達 勤さん……”

あたしは心の中で、何度もその名前をリフレインさせながら、そのヒトのイメージを勝手にどんどん膨らませていた―――――
< 68 / 227 >

この作品をシェア

pagetop