恋舞曲~雪の真昼に見る夢は…~

「わぁ、ありがとう♪ すごく嬉しいよぉ♪ 電気が消えてて、真っ暗だったときは一瞬不安になっちゃったけど……」

「ベイベー、いわゆるひとつのサプライズってヤツさ、そこんとこヨロシク!」

屯のマスターのおじさんは元ヤンキーのツッパリで、40代半ばになった今でもサングラスに口ひげをはやして、ポマードべっちょりのリーゼント頭だ。

「まぁ、部屋が真っ暗な時点で、先の展開は読めちゃったと思うけどね。ウフフ」

おばさんもまた元ヤンキーのスケバンで、髪はチリチリパーマのカーリーヘアー、紫のアイシャドウに真っ赤なルージュというかなり派手派手のメイクをしていた。


「…つーか、マリヤ、さっきロウソク吹き消すとき、思いっきりツバが飛んでたぜ。あれじゃ、汚くてケーキ喰えねーじゃん」


そんで、このクチの悪いのが、ヤンキー夫婦の一人息子で桐矢 剛(キリヤ・ゴウ)20歳。コイツはほとんど白に近い色の金髪のツンツンヘアーをしている。

“みんながお祝いの言葉をかけてくれているっていうのに、なんでこのヒトはこんなことしか言えないんだろ?”

そう思うと超ムカついた。

「ツバなんか一滴だって飛んでないよ!」

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