恋舞曲~雪の真昼に見る夢は…~
それを聞いて、診察室にいた数名の看護師さんがクスクスと笑った。

「もォ…こんなところで、そんな話なんかしないでよっ…病院では父とムスメじゃなくて、お医者さんと患者さんなんだから、さっさと検査をはじめてよっ…」

あたしは恥ずかしくて、小声で…、だけど思いっきり文句をブチまけた。

「分かった、分かった」



あたしにはまだ物心がつく前の小っちゃい頃から、毎年12月24日になると必ずやらなければならないことがある。

それは病院の“心臓ドック”に入って、心臓の精密検査を受けることだ。



「じゃあ、間宮さん、その椅子に座ってくださいね」

「はい」

看護師さんに言われて、あたしは父……いや医師と向き合うカタチで椅子に座った。

今どきは看護師さんでも髪を染めてるヒトも多いんだけど、20代後半といった感じのその看護師さんは黒髪を後ろでアップにして清楚な雰囲気を漂わせていた。

「あぁ、そうだ…。そういえば、その看護師さんなんだよ、毬」

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