幻妖奇譚
「え……?」



 ……サキ、が?



 光江たちを……



 殺した――!?




「ほ、本当に?」

「そうよ」

「……なんで?」

「なんでって……、いなくなって欲しかったんじゃないの?」

「だからって!! 殺さなくたって……」

 サキが不思議そうな表情をする。

「どうして? あの子達、沙希を傷つけたのよ。だったら殺したっていいじゃない」

 背筋に冷たいものが走る。……だけど、なんだろう。サキの言ってる事が正しい事のような錯覚が芽生えて来た。

 そうよ……あんな子達にずっと苛められ続けるくらいなら――。

 頭をぶんぶんと振り、恐ろしい考えを振り切ろうとする。

「沙希、素直になって。あの子達がいなくなって本当は嬉しいでしょう?」

「違……う、そんな事、本当に望んでなんかない!!」

「あたしは沙希のしたかった事をしてあげたの」

「やめて……やめてやめてやめてぇっ!!」

 鏡を割ろうと、両手の拳を打ち付ける。

「無駄よ、割れないわ。……そんなに手をぶつけたら痛いわよ?」

「うるさいっ! 消えて! あんたなんか消えてよ」

「じゃあ……あたしと入れ替わる?」

「……えっ?」





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