幻妖奇譚
 ……校長先生が“不可解な事件”って言った理由がわかった。


 みちるの首の後ろからはストローが飛び出し、そこからポタ、ポタと血が滴っている。

 普通、ストローなんかで人が殺されるなんて思わない。

 みちるの体が後ろにゆっくりと倒れていく。

「終わったわ……沙希、次に行くわよ。……沙希?」

「ね、ねぇ……サキ? さっきの、どうやったの?」

「さっきのって?」

「ケーキで口切れたり……それに普通あんなストローなんかで首を貫通する?」

 サキはくすっ、と笑った。

「あのケーキもストローも、鏡に映ってたでしょ? 鏡に映る物は人間以外は全てガラスに代わるのよ」

「ガラス……?」

「だから、あんな物でも人を殺せるの。ね、面白いでしょ?」

「……う、面白いけど、でも……」

「ほら、次は由美子よ」

「……そういえば、これってどうやって移動してるの?」

「鏡がある場所なら、何処でも。全部繋がってるから行けない場所はないわ」

「……便利だね」

 鏡の世界って実は現実世界より、快適なのかも……。


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