月のヒカリ
死にたがり



「・・・なに、してんだよ」

 ゆっくりと近寄ると、琴実が顔をあげた。
 琴実が顔をあげると、手の力が抜けたようで、掴まれていた雫がくたっと伸びた。

「・・・・」

 琴実はオレを見入って、そして困ったように目を伏せた。

「なに、してたんだ?」

 責めないように、責めないように、気をつけて言葉をつなげても、問い詰めているようになってしまう。

 琴実は雫の白い体をなでた。
 それは愛しそうな手つきで、やはり、オレは事情があるんだと悟った。

「雫・・・、死んでんのか?」

 聞くと、琴実はゆっくり首を振った。

 良かった・・・。と思った。
 間に合った。とも思った。


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