うさぴょん号発進せよ
「ホントコウヅキって、こう見えてもかなり真面目よねぇ〜」

「なんだよ、『こう見えても』って。
…んなんじゃねぇよ。急に明日から暫くの間、ここを離れることになったからな。その分の仕事をしてきただけじゃねぇか」

綺麗に避けられたのが、余程腹立たしかったのか、コウヅキは苦虫を噛み潰したような顔で、相手を睨み付けた。しかし当の本人は、気にも留めている様子が全くない。

「だからって、何も一人で頑張らなくても、いいんじゃないのかしら?」

「放っておいてくれ。借金返す分は働かないといけねぇんだから、仕方ないだろう。それなのに、オヤジのやつ…」

最後の方は、ぶつぶつと口の中で呟いている。

が、それを突然止めると、くるっと振り向いてヴェイトの方を見た。

「そういや、セリシアからオヤジの消息のことで、何か聞いてないのか?」

「お姉ちゃんから?」

口元に手を当てて、ヴェイトは少し考え込む。
< 130 / 352 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop