うさぴょん号発進せよ
「で、結局どうなんだよ。あと13時間はあるんだろ?
それにこの空間から抜け出すことができるのか、できないのか。それだけでも教えてくれ」

これはこの場にいる誰もが知りたいことである。

皆、ヴェイトの次の言葉に注目した。

「結論だけ述べれば、できるわよ。それも簡単にね」

ヴェイトは意外にあっさりと言う。

「この空間に関してはまだ研究途中だけど、磁場の流れには、ある一定の法則があることが分かっているの。
それは外から内に流れ、やがては内から外へ。そうやって循環を繰り返しているらしいわ。
しかも現在この船は、それに流されている状態よ」

「てことは、どういうことだ?」

「この流れに沿って行けば、いつかは外に出られるってワケ。とはいっても、この速度だと勿論、13時間以内には外に出られないわね。でもこの流れを予め予測して、読むことができれば…」

「時間内にここから抜け出せるんだな」

「そう。その法則も、比較的単純な計算方法で割り出せるって話だし。
だからお姉ちゃんなら、あと数分ほどで、その法則を容易く見つけ出せると思うわ。
後はそのルート通りに移動を開始するのみ、よ」

ヴェイトはコウヅキに向かって軽くウィンクをしながら、自信たっぷりに言った。
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