うさぴょん号発進せよ
「ことの発端は、失踪した顧客数名の家族から借金が完済されたことです」

「ですが、それは…」

「ええ、それは取り立てて珍しいことでもありません。自分の命を代価として大金を作る。よくある話です」

再びラファエルは窓のほうへ顔を向けると、灯りつつある光に目を細めた。

「その件にゴードングループが関わっているという情報が、何処からか届きましてね。ウチの顧客名簿と一緒に」

「流出されたのですか?」

「腕の良いハッカーの仕業か…。
今考えてみればアレは、タスクから送られてきたものだったのかもしれませんね。タスクの失踪が発覚した直後でしたから。
何れにせよ、名簿流出は自社の信用に関わる一大事ですし、その出所を調べざるを得なかったわけです」

ここでラファエルは、一旦言葉を止めた。変わりゆく窓の光景に、見とれているかのようだ。
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