恋人遊戯Ⅱ
第8章 私の記憶。僕の言葉。





私の一番古い記憶は、制服が可愛いので有名な私立幼稚園の年少組の後半ぐらいかな?
今の私じゃ考えられないぐらいお転婆な部類に入ってたんじゃないかな? 先生を困らせては皆の人気者…だったと思う。


なんせ、子供の頃の記憶なんてどれもアヤフヤでハッキリしたものじゃない。でも、あれは年中組だったと言う事はハッキリ断言出来る。同じ幼稚園に通ってた一つ年上の男の子に初めてのキスを上げた時だったから。


けど、この辺りから自分の家で嫌な事が起き出した。


普通なら、迎えに来るはずの親が来ない。子供の頭でも考えちゃう訳。捨てられたんじゃないか。二度と親に会えないんじゃないのか。ってね。


そんな事がしょっちゅうだった。


小学校に上がってからは、両親がほとんど家に帰って来る事なんてなかった。互いに愛人を家に呼んでいたけど、二人が鉢合わせしないように打ち合わせをしてたとしか言い様がないくらい、顔を合わせる事がなかった。


それぐらい仲が悪かった。後々聞いた話によれば、2人が望んだ結婚じゃなかったみたい。


しかも、出来た子供は女だし? …だったら、私は何のために産まれたんだろうって考えるじゃない。


小4の時に、たまたま家族全員揃った時の奇妙な違和感。当たり前の事が気持ち悪くて、気がついたら家を飛び出していた。


裸足で、そこら中を走って行く内に自分がどこを走ったのか分からなくなって、ウロウロと歩いていたら…どっかのレディースのグループにぶつかって…いわゆる、ボコられた。





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