恋 時 計 ~彼はおまわりさん~
「美樹、今警官のこと考えてたでしょ?」
智子の声に不意打ちされた私は、驚いて瞬きを多くした。
「警官じゃないよ。おまわりさん!」
少し強く言った私の声に、智子が笑った。
だって、あの人は警官って感じがしないんだもん。
だから私は、名前の知らないあの人のことを
おまわりさんって呼んでる。
「やっぱりおまわりさんのこと考えてなんだ~。いい加減声かけてみなよ」
「無理だよ~」
智子に心の中を当てられた私の顔は、急に熱を帯び始めた。
無理だよ、無理!
毎日見るだけで胸がキュンってなるのに、声をかけるなんて……。
けど、声をかけたら親しくなれるかな?
いやいや、こんな子供相手にしてくれないよね?
けど
だけど……
おまわりさんの声を聞いてみたい。
そう思った時、頭上から声が聞こえてきた。