恋 時 計 ~彼はおまわりさん~

見えない壁



近づいてくる圭ちゃんの笑顔の後ろにあるおじさんの影。


私は不自然な笑顔で圭ちゃんに手を振っていた。



私の前に立った圭ちゃんは、嬉しそうに口を開く。


「もしかしてデート?」


おまわりさんに小さく頭を下げる圭ちゃんに、私は動揺しながら口を開いた。


「制服ってことは部活だったの?」

「え? うん。合唱部はほとんど休みなし」

「そうなんだ~」



すごく不自然かもしれない。


けど、今おまわりさんを彼氏って紹介するわけにいかない。

あの警察官に、おまわりさんが女子高生と付き合ってるって知られてしまう。



動揺している私の視界の中で、おまわりさんが通り過ぎていく警察官に会釈した。


やっぱりおまわりさんと同じパトカーに乗った警察官なんだと確信した私は、更に動揺する。



そんな私の前で、圭ちゃんがおまわりさんに声をかけた。




< 180 / 712 >

この作品をシェア

pagetop