恋 時 計 ~彼はおまわりさん~



バスから降りた私達は、お互い買いたい雑誌があって近くの本屋さんに行くことにした。


おまわりさんが好きな雑誌は今日発売するらしい。



雑誌好きな共通点を見つけた私は、ちょっと嬉しくなった。




本屋さんを目の前にした時、交差点の向こう側からうちの学校の制服を着た女の子が歩いてきた。



「あっ、圭ちゃんだ」

「友達?」

「うん。同じクラスの子なんだ」



私の視線に気づいた圭ちゃんに、手を振った。


「圭ちゃん!」



圭ちゃんが私に気づいて手を振り返してくれた時、見覚えのある顔が圭ちゃんの後ろから現れた。




あれ……あのおじさんて……





目の前のおじさんと記憶の中のおじさんが重なった瞬間、

私はおまわりさんの手を振り解いていた。



意識して離したわけじゃなく、反射的な行動だった。





この行為が、おまわりさんを傷つけていたなんて……


その時の私の頭は一杯で、気づくことが出来なかった。









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