恋 時 計 ~彼はおまわりさん~


先生……


先生からのプレゼントは


おまわりさんに会いに行くきっかけだったんだね……。





携帯をきった後、智子が放心状態の私に質問した。


「美樹、どうしたの?」



驚きのあまりすぐに答えられない私は、智子の携帯をぎゅっと握った。


「美樹?」

「……行かなきゃ」

「え?」

「おまわりさんのところに行かなくちゃ……」




少しの間の後、私は携帯を智子の手に渡し、先生からのプレゼントが何だったのかを話した。


すると智子は私と同じように驚き、目を輝かせて言った。


「行っておいで!」



私の背中を力強く叩いた智子。


私は目を潤ませて大きく頷づいた。





どんな顔で会ったらいいかなんてわからない。


どんな言葉をかけたらいいかなんてわからない。



だけど、おまわりさんのところに行かなくちゃ。




おまわりさんのところに――


会いに行きたい。





私は先生と智子に背中を押してもらい、おまわりさんが居る交番へ走り出した。






< 227 / 712 >

この作品をシェア

pagetop